平成31年1月23日(水)

兼題「晴」

御手洗靖大
君が宿よぎりたる雲立ち消えてさみしき晴れの続くこの頃

加藤晴乃
初春や振袖羽織り仰ぎ見て晴れ渡る空に羽ばたかむとす

笠原雄二
ビル風か海風なのかは知らねども首をすくめて春の晴海を

菅原秀太
ともしびを背けてひとり月の夜に晴れぬ心をいかにとやせむ

三宅やよい
夕晴れの空は果てなく続くなら想ひを放たむ君に届けと

吉野清美
晴天に山茶花ほころぶ庭に出でて訪う人としばし語らう

岸志津佳
ふゆばれのあしのこのきしにうちつくるしぶきはげしくやさしくもあるか

シェーン・ハリス
晴れもよし曇りてもよし東のみやこの空は吾れをみまもる

井沢真紀
晴衣を花と装ふをとめごはおとなとなりて匂ひたつかな

田上富美子
息をのむ踊りの後に晴れ晴れと汗と笑顔に拍手なりやまず

高橋英子
新しきみ代をまちつつきざみこし晴るる日々あり平成を惜しむ

伊藤久乃
来む月は旅にいでたし病む間なしなど天晴れに老母微笑む

金住昌美
あたらしき年の天降れる神の島に晴れ晴れ広き凪の海原

森下正博
晴るる日のおおぞらにまふわがこころたかくまふなりあすをゆめみて

天之原詩恩
寒き風の吹き晴らしたる雲間より千筋の陽刺す固き木の芽に

天之原泰洸
晴れやかに笑ふ背中にピカピカのランドセル負ふ一年生ら

林 純一
はれの日の空に一筋尾をえがき飛行機はとぶ流星の如

大原 稔
空さむき八つの峰には雲かかり里より晴る雪の朝あけ

兼築信行
ひさかたの空はれわたる東京に冬ののこりの日数手折れり

青柳隆志
一瞬の晴れ間は神の恵みにて和歌の披講は外宮に響く