平成31年2月20日(水)
兼題「梅」
加藤晴乃
朝早く 起きてぞ見つる 梅の花 白くれなゐの 匂ひうつせよ
岸志津佳
北風に 顔背けたる その先に 咲き誇る梅 美(くは)し微笑む
菅原秀太
北向きの 窓の外には 雪ふかし 蕾の梅は いまだ固くて
笠原雄二
まなび舎を 飛び立つ鳥を 見送りて 手を振るごとし 梅の花咲く
シェーン・ハリス
富岡に 春や立つらん 参り来し 宮路の端(はし)に 梅咲きにける
スニトコ・タチアナ
雪花を 咲かせた梅は 一瞬の 東京冬の ぬか喜びよ
宮 廣美
散る梅の のこり香ふかく うづもれて 音なき朝(あした) 雪は降りつむ
森下正博
梅の香に さそはれひとり にはにたつ 心に待ちし 春のおとづれ
三宅やよい
さくら咲く 頃まで待てと 人は言ふ われは信ずる 梅咲く頃に
高橋英子
丹精を 込めて育つる 紅白の 梅のかをりに 母をおもひぬ
吉野清美
おとめらの 姿にも似て 梅の花 風に揺られて 笑み交わしあう
天之原詩恩
桃色の 花弁ことごと ふくよかな 香に匂ひけり 八重咲の梅
天之原泰洸
小雪舞ふ 信濃の国は 善光寺 八重咲く花は ほのかに香る
林 純一
花の香に さそひさそはれ ながむれば はる風やさし 吉野梅郷(ばいごう)
兼築信行
さかりなる 湯島しら梅 若きらの 願ひ香りに たぐへてよかし
青柳隆志
白梅の 先駆けて咲く 春の日に 雨のそそぎて 身をぞ清むる