令和元年8月11日(日)

兼題「山」

①笠原雄二
熱帯の 日差しと嵐に 打たるるも 山吹色の 花誇らしく

②シェーン・ハリス
あしびきの 山藍におく 白露に ひかりを宿す はつ秋の月

③菅原秀太
ながむれば みやこのやまは いろふかし ふるきこよみの たなばたのよに

④佐藤 灯
朝もやに 色づく空の 美しさ 神々の世界 感じる夜明け

⑤三宅やよい
伊勢山の おおかみに誓ふ ちぎりゆゑ みとりし姉の 顔はればれし

⑥森下正博
ひぐらしの 鳴く山の宿 くつろげば 夕餉の窓に 星ふたつみつ

⑦高橋英子
ひのもとに たぐひなき山 日々にあふぎ われ育ちたる 里はうつくし

⑧宮 廣美
修行僧のごとし 名だかきみももちの やま駈けのぼる 若きすがたは

⑨林 純一
出づるより 月にさはらぬ 山のはの かひあるみよと おもひけるかな

⑩兼築信行
なつふかき 木立ちのかなた あらはるる 浅間はしろき けぶり吐きたり

⑪青柳隆志
山また山 青き巖の 連なりて 見果てぬ夢の いづち行くらむ

⑫黒田宜子
三輪山に おわす神にそ 祈りたる ひとの心の たひらかなるを

⑬吉野清美
ふるさとの 山みね照らす 月あかり 瞳光らせ 鹿の子はゐる

⑭大原 稔
たてしなに 秋や立ちくる ひぐらしの やまぢすずしき まつのしたかぜ