令和3年3月26日(金)

兼題「さくら」(題者 高橋英子様、選者 青柳隆志先生)

第一席

大原 稔
とにえいでぬ やまひはやれば さくらばな われもてなさむ うたにとどめて

第二席

菅原秀太
おおなゐゆ ととせのすぎし むつのくに むかしをしらで はなはさくかな

第三席

仲谷嘉洋
野に山に このめ春雨 ふれる午後 まだきも散りぬ 甕の桜は

別格

兼築信行
もてはやす ひとはかはれど さくらばな ときをたがへず さくはうるはし

選者

青柳隆志
いにしへの 真間の手児奈も 触れにけむ 満開の桜 川面にうつる

詠進歌

榊原有紀
ぬばたまの 夜に落つるごと さくらばな 君の袖へと ふりそそぎける

黒田宜子
みはるかす 霞む銅山 はろばろと 山桜散り 花びら流る

仲谷嘉洋
野に山に このめ春雨 ふれる午後 まだきも散りぬ 甕の桜は

宮 廣美
うらうらと 照れるはるひに やはらかく かはぞひざくら さきそめにけり

森下正博
すみだがは ながきいのちの さくらもち つたへゆかむな はなみるごとに

笠原雄二
春は来ぬ きざすつぼみに あといくか 待たば咲くやと 桜木に問ふ

加藤晴乃
六義園の しだれ桜を 見あぐれば 月の光に 煌めきて咲く

菅原秀太
おおなゐゆ ととせのすぎし むつのくに むかしをしらで はなはさくかな

三宅やよい
さくら茶の いくひさしくと ひらきをり 遠きおぼえも 舌にのこれり

高橋英子
靖國に まつるみたまよ やすらけくと ことしのさくら はやさきにけり

吉野清美
花の雪の ゆるやかに舞ふ 通学路 乙女の指も さくら色なり

林 純一
去年(こぞ)の春は さかりを見ずて こもりけり このとしこそと 恋ふる桜を

大原 稔      
とにえいでぬ やまひはやれば さくらばな われもてなさむ うたにとどめて

兼築信行
もてはやす ひとはかはれど さくらばな ときをたがへず さくはうるはし

青柳隆志
いにしへの 真間の手児奈も 触れにけむ 満開の桜 川面にうつる