「歌はただよみあげもし、詠じもしたるに、なにとなくえんにもあはれにもきこゆる事のあるなるべし」 藤原俊成

平成29年 披講歌一覧

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平成29年披講学習会歌会始「野」

平成29年1月11日

①(甲調、講師 林純一、発声 大原稔)岸志津佳 **
今もなお変わらぬ顔で出迎えるあの日歩んだ故郷の野道

②(甲調、講師 林純一、発声 大原稔)水津茂 **
冬の野に春日の鹿が鳴く声や朝に愛でし夕べに哀し

③(甲調、講師 林純一、発声 大原稔)多田知代子 *****(第二席)
象のゆく遥けき野辺のその果ての夕陽は空の限りを染めて

④(甲調、講師 林純一、発声 金住昌美)吉野清美 ***
初春の湯呑みに熱い吉野葛旅の思い出母に語りき

⑤(甲調、講師 林純一、発声 シェーン・ハリス)青柳隆志 **
望遠の視野にとらへし三日月をまるく照らせる地球のあかり

⑥(甲調、講師 林純一、発声 シェーン・ハリス)大原稔 ****
梓弓はるの野にひく姫小松千歳を祝ふ今日のめでたさ

⑦(乙調、講師 林純一、発声 シェーン・ハリス)金住昌美 *
沖縄の風吹く原野暖かく今年も集う家族の笑顔

⑧(甲調、講師 井沢真紀、発声 大原稔)林純一 *****(第二席)
栗栖野の秋の夕べの色なれやのきばの雲も霧の迷ひも

⑨(甲調、講師 林純一、発声 シェーン・ハリス)伊藤久乃 *****(第二席)
初春の箱根の野山の名残雪日差しは春の香を漂わせ

⑩(甲調、講師 吉野清美、発声 菅原秀太)平居宏朗 **
野に立ちて冴ゆる風をば背に受けてやまとをのこの壮心やまず

⑪(乙調、講師 林純一、発声 大原稔)佐藤明美 ***
晴れわたる澄む頂の岩かげに咲く山野草ちいさくひそかに

⑫(上甲調、講師 笠原雄二、発声 大原稔)井沢真紀 **
御氏子が海川山野の御恵をおほなおほなと捧げ奉れり

⑬(甲調、講師 林純一、発声 シェーン・ハリス)高橋英子 *
野の花のたくましく咲くあはれさよ新しき年もかのようにあれ

⑭(甲調、講師 中田智博、発声 笠原雄二)菅原秀太 ******(第一席)
野よしばしとどめよ面に若草のいろのにほへる青き春べを

⑮(乙調、講師 林純一、発声 大原稔)加藤晴乃
初春や神宮参り青雲の神々集い幸福祈り

⑯(上甲調、講師 菅原秀太、発声 吉野清美)笠原雄二 **
遠栄と言祝ぐ翁み吉野の山々を縫う青き川かな

⑰(上甲調、講師 菅原秀太、発声 吉野清美)中田智博 **
初春に早稲田なる野に集まりてにぎはふうたげやむことはなし

⑱(乙調、講師 井沢真紀、発声 吉野清美)シェーン・ハリス *
君と立つ冬野巡りし空澄みて今始めなむ天体観測

⑲(甲調、講師 井沢真紀、発声 吉野清美)田上富美子
雨上がり野原を連なり歩いたね遠い思い出浄瑠璃寺の春

⑳(甲調、講師 林純一、発声 伊藤久乃)兼築信行 ******(第一席)
見はるかす冨士のすそ野はひろびろとこころに隈も無くて生きたし

えほん村リニューアルオープン 披講

平成29年2月4日

講師 天之原泰洸
発声 天之原詩恩

君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで

平成二十九年歌会始「野」
皇后陛下御歌
土筆摘み野蒜を引きてさながらに野にあるごとくここに住み来し

天之原詩恩
やつのみねに つらなるいのり かくばかり たへなるしらべ けふながれゆく
(八ヶ岳の折句)

早春の歌会@JICA東京

平成29年2月24日

読師 菅原秀太(縹冠直衣・八藤丸指貫)
講師 林 純一(夏赤袍衣冠・鳥襷指貫)
発声 青柳隆志(夏黒袍衣冠・八藤丸指貫)
講頌 シェーン・ハリス(二藍冠直衣・竜胆襷指貫)
講頌 吉野清美(小袿・緋切袴)
講頌 金住昌美(小袿・緋切袴)
衣紋 三田百合菜(小袖)

春のはじめに、いにしへびとのよめる、くさぐさのうた

(甲調)古今和歌集仮名序より 王仁
なにはづに さくやこのはな ふゆごもり いまははるべと さくやこのはな

(乙調)万葉集より 志貴皇子
いはばしる たるみのうへの さわらびの もえいづるはるに なりにけるかも

(上甲調)新古今和歌集より 式子内親王
やまふかみ はるともしらぬ まつのとに たえだえかかる ゆきのたまみづ

(乙調二反)太陽と薔薇より 与謝野晶子
早春の 銀の屏風に 新(あらた)しき 歌書くさまの 梅の花かな

(甲調)新古今和歌集より 藤原俊成
けふといへば もろこしまでも ゆくはるを みやこにのみと おもひけるかな

第12回しきなみ子ども短歌コンクール ニッショーホール

平成29年 3月5日(日)

読師 兼築信行(縹夏直衣、八藤丸指貫)
講師 林 純一(二藍夏直衣、竜胆襷指貫)
発声 伊藤一夫(赤夏衣冠、八藤丸指貫)
講頌 大原 稔(二藍夏直衣、八藤丸指貫)
講頌 天之原泰洸(青夏衣冠、八藤丸指貫)
講頌 菅原秀太(紫衣冠、鳥襷指貫)
講頌 天之原詩恩(袿、単、緋切袴)
講頌 吉野清美(袿、単、緋切袴)
講頌 井沢真紀(袿、単、緋切袴)
講頌 加藤晴乃(袿、単、緋切袴)
講頌 伊藤久乃(袿、単、緋切袴)
講頌 荒川克実(袿、単、緋切袴)

「しきなみ子供短歌賞」「文部科学大臣賞」受賞

【低学年の部】東京都渋谷区加計塚小学校 2 年生 紅野那緒
七年も土にもぐってねむってた今年のせみはどうきゅうせいだ

【中学年の部】沖縄県うるま市立高江洲小学校 4 年生 友寄 凌
ぼくたちの思い出つまった旧校舎大雨にぬれ泣いてるようだ

【高学年の部】埼玉県行田市立下忍小学校 5 年生 大山宗一郎
どちらさまぼくにたずねるおばあちゃんこんどはぼくがささえてあげる

女楽「源氏物語 梅枝 六條院の薫物合わせ」 紀尾井小ホール

平成29年 5月26日

蛍兵部卿宮 兼築信行(浅葱夏直衣)
光源氏 林 純一(二藍夏直衣)
柏木 伊藤一夫(二藍夏直衣)
夕霧 青柳隆志(夏黒衣冠)
弁少将 シェーン・ハリス(夏赤衣冠)
衣紋 吉野清美
衣紋 菅原秀太(狩衣)

蛍兵部卿宮(甲調)
鴬の声にやいとどあくがれむ心しめつる花のあたりに(千代も経ぬべし)=添え句

光源氏(甲調)
色も香もうつるばかりにこの春は花咲く宿をかれずも

柏木(乙調)
鴬のねぐらの枝もなびくまでなほ吹きとほせ夜半の笛竹

夕霧(上甲調)
心ありて風の避くめる花の木にとりあへぬまで吹きや寄るべき

弁少将(甲調)
霞だに月と花とを隔てずはねぐらの鳥もほころびなまし

八ヶ岳 歌会

平成29年6月17-18日の2日間にわたり、天之原泰洸さま(講師上級)、天之原詩恩さま(講頌上級)ご夫妻にによる歌会が開催されました。

歌会~八雲立つ@平山郁夫シルクロード美術館

平成29年6月17日

読師 兼築信行
講師 林 純一
発声 シェーン・ ハリス
講頌 岸 志津佳
講頌 佐藤明美
講頌 伊藤久乃
講頌 金住昌美
講頌 三宅やよい
講頌 菅原秀太
講頌 笠原雄二
講頌 木下晋伍

【出雲路に関する和歌】
古事記 速須佐之男命
八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を

寂蓮集 寂蓮法師
柔らぐる 光や空に 満ちぬらん 雲に分け入る 千木のかたそぎ

【シルクロードに関する和歌】
古今和歌集 安倍仲麿
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠山に 出でし月かも

致死量の芥子 有沢螢
致死量の 芥子のごとくに 赤き月 シルクロードの 旅路のはてに

【八ヶ岳に関する和歌】
八ヶ岳にて 柳原白蓮
八ヶ岳に 夏の日させど 小淵沢 秋はやくして ひぐらしの鳴く

【シルクロードに寄せての和歌】
夏日詠絲繡之路 和歌 早稲田大学教授 兼築信行
ひむがしの 果てつはてまで つながりて もの人きぬの 道ぞゆかしき

歌会一部~水に捧ぐ@山梨県 三分一湧水

平成29年6月18日

読師 兼築信行
講師 天之原泰洸
発声 林 純一
講頌 大原 稔
講頌 天之原詩恩
講頌 菅原秀太
講頌 シェーン・ ハリス
講頌 金住昌美
講頌 伊藤久乃
講頌 佐藤明美
講頌 岸 志津佳

平成二十九年歌会始「野」
皇太子殿下(甲調)
岩かげにしたたり落つる山の水大河となりて野を流れゆく

歌会二部〜天地を歌う~@山梨県 三分一湧水館展望ホール

平成29年6月18日

発声 シェーン・ ハリス
発声 天之原詩恩

平成二十九年歌会始「野」
皇后陛下御歌
土筆摘み野蒜を引きてさながらに野にあるごとくここに住み来し

(甲調)
君が代は千代に八千代にさざれいしのいはほとなりて苔のむすまで

詠進歌(いろは順)

伊藤久乃
陽の洩るゝ林流るゝ湧水路握る手強き君の想ひ出

林 純一
見はるかす雄々しき嶺(みね)にいだかれて一期一会の夏の陽眩し

金住昌美
三分一清き流れの水の音穏やかなれと世を祈りつつ

大原 稔
赤岳の峰の残雪消えゆきて三分一水音まさりけり

兼築信行
湧き出づる三分一(さんぶいち)の水ほとばしり流れていたる太平(たいへい)の洋(うみ)

笠原雄二
天の原山なみに浮かぶ富士の嶺を船に見なして渡りゆく風

天之原泰洸
湧き出づる水の流れるその先に豊かな田畑命育む

天之原詩恩
歌声は天(あめ)と地(つち)とに響くらん美(うま)しこの国美しこの星

佐藤明美
風かおる大地にそそぐ水の音よ言の葉のせて山さとに満つ

岸志津佳
湧き出づる泉豊かに流れゆくせいめいのすむところなりけり(清明/生命)(澄む/住む)

ハリス シェーン
天の原広々として青やかなる峰にかかれる白き横雲

菅原秀太
うちしめるぬばたまの夜の空をおもみ見えざるもののかげぞ恋しき

三宅やよい
群青の月の砂漠のキャラバン隊仰ぎ見ゆれば星のささやき

歌会三部〜野に歌う~@山梨県 えほん村

平成29年6月18日

読師 兼築信行
講師 林 純一
発声 シェーン・ ハリス
講頌 大原 稔
講頌 天之原泰洸
講頌 天之原詩恩
講頌 菅原秀太
講頌 金住昌美
講頌 伊藤久乃
講頌 笠原雄二
講頌 佐藤明美
講頌 岸 志津佳

君が代は千代に八千代にさざれいしのいはほとなりて苔のむすまで

伊藤久乃
陽の洩るゝ林流るゝ湧水路握る手強き君の想ひ出

林 純一
見はるかす雄々しき嶺(みね)にいだかれて一期一会の夏の陽眩し

笠原雄二
天の原山なみに浮かぶ富士の嶺を船に見なして渡りゆく風

平成二十九年歌会始「野」
皇后陛下御歌
土筆摘み野蒜を引きてさながらに野にあるごとくここに住み来し

八ヶ岳の歌会 番外編 @山梨県 サンディア・カフェ

平成29年6月18日

読師 兼築信行
講師 林 純一
発声 シェーン・ ハリス
講頌 列席者一同

平成二十九年歌会始「野」
皇后陛下御歌
土筆摘み野蒜を引きてさながらに野にあるごとくここに住み来し

早稲田七夕歌会

平成29年7月12日

兼題「七夕」(題者 菅原秀太)

林純一
七夕の契り愛(かな)しきひととせの想ひを添ふる梶の葉ゆかし

天之原泰洸
宇宙には雨雲(あめくも)なくて澄み渡りそれでも想ふ梅雨の七夕

天之原詩恩
七夕の糸織姫(いとおりひめ)の彩衣(あやごろも)掛けわたしたる今日の夕暮れ

吉野清美
願ふこと書きて手向くる星の座にいつしかかかるかささぎの橋

菅原秀太
ひとひらのみどりまぶしき梶の葉に重みを覚ゆこの七夕は

ハリス・シェーン
たま笹を星の御座(おまし)にたてまつりよろづのものの幸(さきは)ひを祈(ね)ぐ

高橋英子
かぢのはに願ひをたくし天の川いついつまでもすこやかにあれ

金住昌美
天の川をうちあふぎつつこの年も静かなりけりレインボーブリッジ

加藤晴乃
星空に願ひを込めて七夕の絹織り飾り琴をつまびく

荒川克美
彦星と織姫あそぶ星の夜二人で逃げよ銀河の果てに

笠原雄二
夕暮れの刻(とき)は迫りて七夕の綾(あや)はいかにとまたなやみけり

高草木明美
あふぎみる笹のかなたに天の川星に願わむあたらしきゆめ

木下晋伍
星々の空へとのぼる虫の音に想ひをたくす七夕の夜

小林潤也
七夕に出会ひし人を待ち続けたよりなくして会へぬかなしさ

三宅やよい
あふことの ままならぬよも のぞみつつ かがやくかはを はやわたらなむ(折句)

大原稔
縒り紡ぐ棚機女(たなはたつめ)の糸ならむ大空高く羊雲曳く

八千代市飯綱神社御奉納

平成29年8月27日

豊栄舞 井沢真紀

読師 兼築教授(縹冠直衣・八藤丸指貫)
講師 菅原秀太(夏武官束帯・裾・魚袋)
発声 シェーン・ハリス(赤夏衣冠・鳥襷指貫)
講頌 星と森披講学習会一同

秋日於飯綱神社廣前詠七夕和歌哥
千葉県 青柳隆志
みやしろに鐘の音ひびき星合のいのりは今ぞ天(そら)に聞こゆる

乞巧奠@八千代市文化伝承館

平成29年8月27日

読師 兼築信行
講師 天之原詩恩
発声 大原 稔
講頌 シェーン・ ハリス
講頌 笠原雄二
講頌 高橋英子
講頌 加藤晴乃

①(甲調)勝田台北 田巻(たまき) 幸生(さちお)
織姫はいくつにおなりか星まつり化粧濃くして句会に向かう

②(甲調)大和田新田(しんでん)末(すえ)澤(ざわ) 章子(ふみこ)
後朝の悲しみいかに星合ひの夜(よ)を羅(うすもの)で包みやりたし

③(乙調)八千代台西 百瀬(ももせ) 水(み)枝子(えこ)
ひととせにひと日の逢ひも許されぬ七日の夜の雨を思ひつ

④(乙調)ゆりのき台 池内(いけうち) きよ子(こ)
天の川白くけぶりて中天に星合ひ祈り艶(なま)めく心

⑤(上甲調)萱田町(かやだまち) 吉田(よしだ) 仁子(さとこ)
「あまのがわコーズイしたらどうするの」 幼(おさな)の問ひの柔(やは)く優しく

⑥(甲調)千葉県 ハリス・シェーン
たま笹を星の御座(おまし)にたてまつりよろづのものの幸(さきは)ひを祈(ね)ぐ

⑦(乙調)東京都 林純一
七夕の契り愛(かな)しきひととせの想ひを添ふる梶の葉ゆかし

⑧(乙調)東京都 大原稔
よりつむぐたなばたつめの糸ならむ大空高くひつじ雲曳く

⑨(上甲調)埼玉県 兼築信行
ほしの夜はちよに八千代の棚機(たなばた)にうたの巧みを乞ひたてまつる

⑩(上甲調一反、甲調一反)千葉県 青柳隆志
みやしろに鐘の音ひびき星合のいのりは今ぞ天(そら)に聞こゆる

秋の歌会@JICA東京

平成29年9月15日

読師 菅原秀太(縹冠直衣・八藤丸指貫)
講師 林 純一(夏赤袍衣冠・鳥襷指貫)
発声 青柳隆志(夏黒袍衣冠・八藤丸指貫)
講頌 大原 稔(二藍冠直衣・八藤丸指貫)
講頌 シェーン・ハリス(二藍冠直衣・竜胆襷指貫)
講頌 吉野清美(小袿・緋切袴)
講頌 井沢真紀(小袿・緋切袴)

秋の日、いにしへびとのよめる、くさぐさのうた
(甲調)古今和歌集より 藤原敏行(としゆき)
あききぬと めにはさやかに みえねども かぜのおとにぞ おどろかれぬる

(乙調)万葉集より 額田王(おほきみ)
きみまつと あがこひをれば わがやどの すだれうごかし あきのかぜふく

(上甲調)新古今和歌集より 藤原顕輔(あきすけ)
あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ

(乙調二反)伊豆にて 与謝野晶子
いつまでも このよあきにて はぎををり すすきをとりて やまをゆかまし

(甲調)新勅撰和歌集より 藤原定家(さだいへ)
あけばまた あきのなかばも すぎぬべし かたぶくつきの をしきのみかは

向島百花園 御成座敷 歌会

平成29年12月23日、伊藤久乃さま(講頌上級)による歌会が開催されました。

披講(兼題)

兼題「伝」(題者 伊藤久乃)

読師 荒川克美
講師 金住昌美
発声 天之原詩恩
講頌 加藤晴乃
講頌 岸 志津佳
講頌 田上富美子

荒川克美(甲)
たいせつなひとに思ひを伝へむとことばをさがし歌にしたたむ

多田知代子(甲)
外つ国の母持つをさないざたまへ祖母は伝へむむかしむかしを

多紗(乙)
冬枯れの 枝にひとつの 梅の実を 風吹き抜けて 名残り伝ふる

浅野裕子(乙二反)
百くさの花にさきがけ咲く梅に木づたふ鳥のゆくへ遥けし

井沢真紀(上甲)
ことだまの幸ふ国ぞ神代より伝ふるいのりまことなりけり

天之原詩恩(甲)
富士の嶺に新しき雪陽は満てり風伝へてよ子らの明日に

読師 大原 稔
講師 林 純一
発声 青柳隆志
講頌 天之原泰洸
講頌 菅原秀太
講頌 シェーン・ハリス
講頌 笠原雄二

菅原秀太(甲)
平らけく成る世の中の幸ひを常磐の松に言伝てまほし

笠原雄二(甲)
ふるさとへリニアははこぶ超伝導おさなき日々に描きし未来

大原 稔(乙)
笛竹のよよの昔もしのはれて連なる枝にふきそつたへむ

林 純一(乙二反)
ことのはの道をまことゝ伝へたる君かをしへはわすれさりきり

伊藤一夫(上甲)
バリの夜の子らに伝わる指影絵仲間にいれてと谷ぐくの鳴く

青柳隆志(上甲・上甲・甲)
あなたふと古今伝授の歌の師は文箱の蓋に掛守かく

詠進歌(いろは順)

東京都 伊藤一夫
バリの夜の子らに伝わる指影絵仲間にいれてと谷ぐくの鳴く

東京都 伊藤久乃
誰か知る人伝に聞く消息に想ひ高鳴り行き場もなくて

千葉県 井沢真紀
ことだまの幸ふ国ぞ神代より伝ふるいのりまことなりけり

千葉県 ハリス・シェーン
百伝ふつぬがの駅仰ぎ見る山の夜空に稲妻光る

東京都 林純一
ことのはの道をまことゝ伝へたる君がをしへはわすれざりけり

神奈川県 和田典子
ちはやふる 神代のみうたつたわれるやくもたつ地にしづむ夕日よ

埼玉県 加藤晴乃
世の中に地震災ひて今ぞ知る生けるしるしの思ひを伝ふ

埼玉県 河内美穂
喜びを伝へあふつど幸せがふくらむ楽し友と出会ひて

東京都 金住昌美
いにしへの想ひ伝へるおほやしろ結びていのるやすらけき世を

東京都 笠原雄二
ふるさとへリニアははこぶ超伝導おさなき日々に描きし未来

東京都 吉野清美
雨風に 耐へて花咲く 鼓草 思ひを伝へ どこまでも飛べ

東京都 高橋英子
手をあてて父の手足をあたたむる言葉をこゆる思ひ伝わる

東京都 田上富美子
あま草や入り江の村に伝はれる異国の祈りいまに息づく

東京都 多田知代子
外つ国の母持つをさないざたまへ祖母は伝へむむかしむかしを

東京都 多紗
冬枯れの 枝にひとつの 梅の実を 風吹き抜けて 名残り伝ふる

東京都 大原 稔
笛竹のよよの昔もしのはれて連なる枝にふきそつたへむ

東京都 黒田宜子
食べたしとつぶやくその日柿とどく母に伝はる我の思ひは

東京都 小林潤也
いろはにほ母なる音を伝へゆく紅葉を散らすかぜのごとくに

埼玉県 荒川克美
たいせつなひとに思ひを伝へむとことばをさがし歌にしたたむ

千葉県 青柳隆志
あなたふと古今伝授の歌の師は文箱の蓋に掛守かく

山梨県 天之原泰洸
稽古場におさなきひより父の声ひびきわたれり伝統のわざ

山梨県 天之原詩恩
富士の嶺に新しき雪陽は満てり風伝へてよ子らの明日に

東京都 浅野裕子
百くさの花にさきがけ咲く梅に木づたふ鳥のゆくへ遥けし

東京都 木下晋吾
冬空に季節はずれのミニトマト収穫手伝ふ犬と子と母

東京都 岸志津佳
風のうたにこたへることし草のねは花をもたらす以心伝心

埼玉県 菅原秀太
平らけく成る世の中の幸ひを常磐の松に言伝てまほし

百花園即事

園内を3つのテーマでボランティアガイドの方にご案内いただき、
雪月花の三組に分かれ、即詠し、歌合形式。
①伝統と歴史
②春の七草と皇室
③冬の花

○青柳賞(講師)⚪︎大原賞 ⚫︎林賞 ◉伊藤賞

◎披講歌

雪(テーマ 伝統と歴史)

ご指導 青柳隆志
読師 黒田宜子
講師 浅野裕子
発声 田上富美子

◎椨の木はわれあさましと笑ふべしこのひと冬は過ぎじと願はば 宣子

◎⚫︎戦経て平成の世に残りにし銀杏の幹に傷跡ふかし 秀太

◎沫雪の百花園なる梅の木は災ひ越えて今もかぐはふ 晴乃

抱一の愛でし園生の白加賀の含みの遠に見ゆる三日月 裕子

あらたふと園を見守る銀杏の木年月を経て静かにいます 富美子

年経たる白加賀梅の木のうろに冬の陽差しはあたたかに射す 隆志

月(テーマ 春の七草と皇室)

ご指導 大原 稔
読師 シェーン・ハリス
講師 ○岸 志津佳
発声 天之原泰洸

◎七草を籠にしつらえ皇室の弥栄願う天長節の日 克美

◎⚪︎冬の空澄み渡るなり大君のちとせを祈り若菜捧げむ シェーン

◎冬枯れの百花園にて献茶せし御成座敷に萩茶碗白し 泰洸

陽だまりの静けさたたずむ冬の庭寒椿の花あかを加える 志津佳

七草を幾世重ねて百草と君が千とせのしるしなりけり 稔

花(テーマ 冬の花)

ご指導 林 純一
読師 金住昌美
講師 ○和田典子
発声 河内美穂

◎群れて咲く水仙の花かぐわしくみなもにうつる冬晴れの空 典子

◎⚫︎弓の名を持てるまゆみはらすべによ日に輝ける冬花修行 多紗

◎◉冬の日や土温もれる百花の園名札は記す生命のありど 詩恩

冬の日に薄紅色の鞘一つ花と見まごふ今日の佳き日に 昌美

実の如く小さき花房多羅葉の葉に刻みたる文字の浮き出む 雄二

きみおもひ葉にしたためしまごころは冬の御園にそっとほほえむ 美穂

物いはぬならひながらも慰めよかそけく匂ふ水仙の花 純一

ももくさのはなのそのふもふゆがれて隅田川風 吹き渡るなり 信行

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