先週、「駆込み女と駆出し男」という映画のブルーレイ&DVDが発売されました。
その中に披講のシーンがあるというので楽しみにしていた私は早速見てみる事に。
いまかいまかと待つこと1時間7分が過ぎたころ、ついに披講の調べが聞こえてきました。
冷泉流で「あーきぃ。きーぬぅとーぉ」と5秒ほど。舞台が女性の駆け込み寺・東慶寺なので、やわらかい女声披講でした。
この出だしからすると、「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」でしょうか?
こんな大作に、一瞬とはいえ披講のシーンがあったのは嬉しい事ですね。
来年あたりにテレビで放送されるのでは?と期待しています。カットされなければいいですが(笑)
さて現在、披講には冷泉流と綾小路流があります。
所作などいろいろ異なり、節回しが違うのもそのひとつですが、私が面白いと思うのは、歌会のはじまりの様子です。冷泉流ですと読師が「講師(こうじ)参り給へ」と呼びかけ講師が「おお」と応えて入場するのに対し、綾小路流では読師は一切言葉を発せず無言で講師に合図を送り、それを察して講師が入場します。どちらのはじまりも、それぞれに魅力的で雅な印象を受けます。
ちなみに当会は綾小路流で、かつて私も読師を務めさせていただいたことがありました。本来は八代集を諳んじられるほどの学識者の役目とされており、到底、私ごときができるものではありません。思い出すだにお恥ずかしい読師となったのは言うまでもありません。それもちょうど一年前の出来事かと、しみじみと思い出される師走の始まり、午後のひとときなのでありました。
「駆込み女と駆出し男」の映画の予告はこちら。披講のシーンはありません。