令和2年8月25日(火) 旧暦七夕
兼題「納涼」(題者 青柳隆志)
第一席
兼築信行
しばしとて たちどまりつる やなぎかげ さりがたくして ひとひすぐしぬ
遊行柳の故事を詠みたまひていと涼やかなり。上方の夏酒「柳影」をのままほしう存じたり。
第二席
林 純一
ゆふ月や 秋まつむしを 聞きそむる 背戸吹く風は すずしかりけり
〽お背戸に 椎の実の 落ちる夜は(里の秋)を思はせたり。いとゆかし。
第三席
吉野清美
ふるさとや 花火見むとて 子らつどふ 堤のうへを 風吹きわたる
情景が浮かび涼やかなり。
詠進歌
黒田宜子
ゆあがりの 縁はすずしも あふぐ手の 団扇に似たり しろき夕顔
宮 廣美
ゆふ暮れに 撒き水すれど 家なみの 窓閉ぢはてて 人影も見ず
菅原秀太
しのぶれど もれてあつさの さかりさへ しむるここちの このみなりけり
星わにこ
空の色も 高さも日々に かはりゆき あつさをさむる ひぐらしのこゑ
森下正博
庭に水を うち撒ける宵 すずしさに 池のかはづも 鳴きてよろこぶ
笠原雄二
この夏は まもるソーシャル ディスタンス 陰から陰へ 涼をもとむる
三宅やよい
蜩の しづまりたりて 校庭の あかりに母娘(おやこ)の バチ舞ひ踊る
荒川克美
にげ場なき あつさのあまり かひねこの ふしどの涼を われはうばひぬ
高橋英子
公園の こだちをわたる すずかぜに こころいやされ あせぬぐひさる
吉野清美
ふるさとや 花火見むとて 子らつどふ 堤のうへを 風吹きわたる
天之原詩恩
みづさしに みやまわきみづ そそぎいれて 納涼茶会の 支度ととのふ
林 純一
ゆふ月や 秋まつむしを 聞きそむる 背戸吹く風は すずしかりけり
大原 稔
くさむらに ひいでてたかき なつをばな ゆれてすずしも たてしなのには
兼築信行
しばしとて たちどまりつる やなぎかげ さりがたくして ひとひすぐしぬ
青柳隆志
みなもとの すずしの名こそ ゆかしけれ 極熱の地に 生けるわれらは