令和3年10月4日(月)

兼題「秋風」(題者 林 純一先生、選者 青柳隆志先生)

別格
兼築信行
かぜたちぬ めにはさやかに みえねども みみに はだへに ときぞうつろふ

選者
青栁隆志
あえぬがに 白露のおく ははそはの 紅葉の上を わたる秋風

第一席
林 純一
吹くとしも なきが木立の 末葉より 秋の露散る 今朝の初風

第二席
仲谷嘉洋
そら耳か 遠き日々より 響き来る 声とまがひぬ 荻の上風

第三席
菅原秀太
くもふきて おぼろにつきを さしかくす あきのかぜこそ あはれをしらめ

詠進歌

星わにこ
ふるさとの 秋の便りに 栗届く 穭田を吹く 風はなつかし

仲谷嘉洋
そら耳か 遠き日々より 響き来る 声とまがひぬ 荻の上風

森下正博
秋風に 吹かれ今宵は 月を見る 宇宙の人と 我なりにけり

笠原雄二
秋風は 夏の大気を かきまぜて 太平洋へ 低気圧消ゆ

加藤 晴乃
露天風呂 森に続きて 秋風の 通ふみ空に 満月は照る

岸 志津佳
切なくも 夏はをはりて ひめやかに わがほほなでて 秋の風ふく

三宅やよい
すみわたる そらにのびゆく あきざくら おのがむきむき かぜとたはむる

菅原秀太
くもふきて おぼろにつきを さしかくす あきのかぜこそ あはれをしらめ

林 純一
吹くとしも なきが木立の 末葉より 秋の露散る 今朝の初風

大原 稔
ゆが菊の 花も揺らさず 秋風は 音ひそやかに 香を運び来る

兼築信行
かぜたちぬ めにはさやかに みえねども みみに はだへに ときぞうつろふ

青栁隆志
あえぬがに 白露のおく ははそはの 紅葉の上を わたる秋風