文台(ぶんだい)
和歌や連歌の会で短冊や懐紙を置く台。室町時代以降に広まり、長方形の板の両側に筆返しがあり、刳型の低い脚のついたもの。木地を活かしたものや、蒔絵・螺鈿が施された風雅なものもある。冷泉流のものには筆返しがない。
硯蓋(すずりぶた)
平安〜鎌倉時代には「文台」といえば硯箱の蓋を利用した硯蓋が主に用いられた。御製の懐紙を載せる場合は、硯蓋の下に高坏を置いたという (『袋草子』)。現代の歌会始では「浅硯蓋」が用いられ、読師が披講に先立って初めに裏返し、最後にもとに戻す作法がある。
懐紙(かいし)
平安時代以降、詩会や歌会の際は、自作を懐紙に書いて持参するならわしであった。男性と女性の懐紙では書法に違いがあり、男性の場合は三十一文字を、九・十・九・三文字に分けて書く(最後の三文字は万葉仮名)、女性は散らし書きなど、さまざまな作法がある。歌会始では、預選者等は大鷹(高)檀紙、皇族の女性は鳥の子紙の二枚重ね懐紙を用いる。天皇陛下ならびに親王殿下は、吹上御苑の楮を用いて、栃木県烏山の福田製紙で作られる特別な「檀紙」を用いる。「檀紙」は、薄い黄色、皺も細かく「まことに書きよい紙」と言われており、現在の大鷹(高)檀紙が皺が大きく書きにくいのとは対照的であり、「檀紙」の寸法は縦42センチ。横60センチ余りである。
短冊(たんざく)
和歌を書くための細長い料紙。「一人講師」のような歌会の披講の際に用いられる。貞明皇后を偲ぶ歌会は、短冊披講で行なわれた。
円座(わろうだ)
菅(すげ)や真菰(まこも)などを円形に編んだ敷物。読師や講師の座席として用いられた。