令和2年6月24日(水)

兼題「夏越の祓」(題者 青柳隆志)

【第一席】
菅原秀太
ゆふぐれに ちのわくぐれば ことしまた ほしあひのよも ちかづきにけり

夏越祓から七夕まで咫尺の間とはいうものの、今年に関しては救いのある詠みぶりなり。

【第二席】
兼築信行
としもたけ ちもめぐらぬに わをくぐり ちとせのよはひ のぶといはむや

血の巡りに茅の輪をかけ、老境の感懐をのべられし秀句なり。

【第三席】
林 純一
露帯びて 紫陽花ふふむ 参道に 夏越しの朝の 茅の輪すがしも

つゆのあとさきに言寄せて、爽やかななる風情を詠まれし。

詠進歌

笠原雄二
ひだりみぎ ひだりと廻り くぐる輪の あをき香をかぐ 夏の夕暮れ

菅原秀太
ゆふぐれに ちのわくぐれば ことしまた ほしあひのよも ちかづきにけり

黒田宜子
かやの輪の 消え残りたる 朝露は くくりて禊の 川とやならむ

宮 廣美
ひがしやま 吉田やしろに ひとけなく おほき茅の輪は いそぎ終へたり

森下正博
人がたに 穢れをうつし 流したり よのまがごとよ はやくおさまれ

荒川克美
雨はあがり 人もいでこぬ 田のおもに 鷺おりたちて 夏越の祓ひ

高橋英子
みなづきや なごしのはらへ このとしは やまひとどめて きよめたまへよ

三宅やよい
ゆふさめの 宮司は白き 番傘に 茅の輪くぐりを そろりと進む

吉野清美
水無月の つごもりの夜(よ)に 祝(ほふり)持つ 切麻(きりぬさ)白く 輝きてゐる 

天之原詩恩
祓へたまへ きよめたまへと くぐる輪の ちがやはかをる 身にしみわたる

林 純一
露帯びて 紫陽花ふふむ 参道に 夏越しの朝の 茅の輪すがしも

大原 稔
はやりやまひ みなつきはてよ かはのせに をさならあそぶ こゑひびくまで

兼築信行
としもたけ ちもめぐらぬに わをくぐり ちとせのよはひ のぶといはむや

青柳隆志
いにしへは 内宮にても 茅の輪をば くぐりしものと 文にぞ残る