令和元年11月27日(水)
兼題「立冬」
シェーン・ハリス
鳰鳥の かつしかの街 川面(かわつら)に さやかに映り 冬は立ちけり
天之原泰洸
冬立ちぬ もみぢ舞ひ散る 山里は 椿ひと花 あざやかに咲く
宮廣美
ココアの日 新たなる季は めぐりきて “冬が始まるよ” メロディ流れる
仲谷嘉洋
折節に 疎き身なれど いつしかと 光るツリーに 冬立つを知る
笠原雄二
雁が音も 聞かざるうちに 冬たちぬ くろき烏は 鳴くも騒し
高橋英子
あらたしき みよのはじめの おほまつり いそげるうちに ふゆはきたりぬ
菅原秀太
うすものを かへるひはきぬ このあさも しぐれそぼつる そでのうらかな
天之原詩恩
大君は 笑みて手を振る 光満つ 立冬の陽ぞ 御車に添ふ
黒田宣子
亡き父の 後ろ姿と 雑踏に まだ見えまがふ 立冬の昼
岸志津佳
冬たちて 人は衿もと 締め始め 我は駆けずり 汗だくになれど
加藤晴乃
空寒く ふと見上ぐれば 渡り鳥 つらねとぶみゆ 冬は来たれり
森下正博
冬立てる 日に庭の菊 咲き誇り 心慰む 季は巡りゆく
吉野清美
冬たちぬ 日高見の空 しろき鳥 身を削ぐ風に あらがひて舞ふ
三宅やよい
冬立つ日 しづかに舞ひ降る 渡り鳥 あさかげさして さざなみきらめく
林 純一
春秋の 名残りは浅し 立冬の かぜ肌寒き 暮れ近き空
大原 稔
葉のちりし 木々の梢に 夕日射し 冬たつ庵(いほ)の けふりをそみる
青柳隆志
冬立ちて 正倉院の おほみたから 東(ひんがし)の地に 見るがうれしさ
兼築信行
垂乳根や さらぬわかれの のちのわざを いとなむうちに ふゆたちにけり